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平成31年3月愛西市議会定例会 招集挨拶並びに施政方針説明

更新日:2019年2月28日

 本日ここに、平成31年3月愛西市議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜り、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。

 本年最初の定例会に平成31年度当初予算並びに関連諸議案の御審議をお願いするに際しまして、市政運営に臨む所信の一端を述べさせていただきます。
 急激に進む少子高齢化や人口減少といった本市を取り巻く背景のもと、現在と未来をつなぐ羅針盤として、昨年4月、第2次愛西市総合計画が、「協働によるまちづくり」・「持続可能なまちづくり」・「絆を大切にするまちづくり」の3つの基本理念のもと、始動いたしました。そしてその推進を支える、第2次愛西市行政改革大綱におきまして、これまでの取り組みの検証を進めるものであります。
 また、山積する地域課題の解決や「持続可能な愛西市」を構築する上で、市民の皆様方と行政との「協働」は、不可欠でもあると考えております。
 今後も、総合計画と行政改革の両輪で、市政運営の一端を担わせていただいております市職員が一丸となり、より力強く、一歩一歩着実に前へ推し進める所存でございます。
 市民の皆様方並びに議員各位におかれましても、ご理解・ご協力を賜りますよう、お願い申し上げる次第でございます。

 さて、平成30年度においては、昨年5月19日、第70回全国植樹祭の1年前記念イベントが親水公園総合体育館周辺で盛大に行われ、記念式典、記念植樹などの各種イベントに市内外から約2,000人の方が訪れました。同日には、フットサル場の開所式を行い、市植樹祭では市民の皆様方にも植樹をしていただきました。そして、この2日後の21日には、皇太子殿下が私的ご研究のため本市の船頭平閘門と木曽川文庫をご視察いただくなど、「愛西市」を全国に発信することができました。
 これら2つの出来事は、本市を市内外の方々に知っていただくよい機会であったと同時に、蓮見の会、尾張津島天王まつりの市江車など、本市の観光行事をさらにPRしていくことの重要性を感じたところであります。
 昨年の夏から秋にかけては、異常気象、多くの災害もありました。特に、近年の異常気象の中においても想定を超えた猛暑は、子どもたちの学習環境にも大きな影響を及ぼし、暑さの中での授業は非常に厳しい環境であったと思いますが、今年の猛暑前には全ての小中学校の普通教室に空調設備を整備するため、準備を進めております。
 昨年12月9日に文化会館において開催した「あいさい音楽祭」は、初めての取り組みではありましたが、たいへん多くの方にご来場いただきました。音楽を通じて市民の皆様方の心がつながった「市民が主役」のイベントとして成功したものと感じており、目には見えない「つながる心」を開催運営のパワーとして、今後も実施できるものと実感しております。
 以上、一部のものについて紹介をさせていただきましたが、そのほかの取り組みにつきましても、本市を取り巻く現状と将来の見通しを鑑みながら、さらによい事業となるよう検討を重ね、実行してまいります。

 次に、平成31年度の予算編成について申し上げます。
 まず、国の情勢に目を向けてみますと、景気はこの先も緩やかに回復が続くことが期待されています。しかし、一方で、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等に注視をしていく必要があります。
 そのような国の状況下において、本市を取り巻く状況を見ますと、自主財源である市税の大きな増収が見込めないほか、重要な財源である普通交付税についても合併特例加算分が再来年度をもって終了します。また、10月1日からの消費税率の引き上げによる影響のほか、社会保障費や公共施設の老朽化対策経費などの義務的・恒常的な歳出経費の増加が見込まれることで財源の確保がさらに難しくなっており、将来の財政計画が非常に厳しい見通しであることには変わりありません。
 しかし、このような状況下であっても、これからのまちづくりに向けた新たな取り組みにも、積極的に挑戦していかなければなりません。
 本市を取り巻く厳しい財政状況にあっても、市民の皆様方の負託に応えるため、歳入では交付税や国・県補助金など財源確保に努め、歳出では事務事業の見直し及び重点化、効率化を図るとともに、将来を見据えた取り組みにも積極的に財政措置を行うことを念頭に、予算編成作業に取り組んだところであります。

 次に、主な内容について説明をさせていただきます。
 まず、未来へつなげるまちづくりへの取り組みとして、毎年11月上旬に市役所周辺で開催しているバザー、商工まつり、ママ・マルシェなどの各種おまつりを一体化し市民を主役とした「まつりイベント」としてリニューアルします。多くの皆様方に足を運んでいただき、人と人とがつながり、絆が深まることを期待するものであります。また、日常生活において発生するごみの分別や適正な排出を促進するため、市民の皆様方にも普及しているスマートフォン向けに、ごみ分別アプリを配信いたします。このアプリは日本語のほか、英語、中国語、ポルトガル語、韓国語にも対応させ、市内に住む外国人の皆様方にもごみの分別・減量や適正排出に関して理解を深めていただけるものと考えております。さらに高齢化の時代を背景として、各家庭からの粗大ごみの収集につきまして、一部、戸別回収を実施することにより、ごみステーションまで運ぶ負担の軽減に寄与するものと考えております。
 次に、市民の安心安全の取り組みとして、大規模災害に備え、移動系防災行政無線の更新整備に着手するほか、災害時の情報提供手段である防災メールをさらに発展させ、主に高齢者や障がい者などの避難行動要支援者を対象に、登録いただいた固定電話やFAXへ音声や文字で災害時の情報を受信できるようにします。これにより、災害などに関する情報を入手する選択肢が増え、今まで以上に市民の皆様方が災害情報を受信することができるようになるなど、防災基盤の充実を図ってまいります。
 次に、子育て支援の取り組みとして、妊娠・出産・子育てに至るまで切れ目ない支援を行っていくことは、本市の重要な施策として常々お伝えしている中、次年度はさらに、従来から実施している一般不妊治療費の助成を拡充するとともに、新たに不育症治療に関して助成をいたします。また、産後ケアについても産婦健康診査の回数を増加するとともに、妊娠中から産後に対する不安を軽減するための「ママパパ教室」及び「ぴよぴよサロン」に助産師を新たに配置し、母子等のケアのより一層の充実を図ります。これら制度を幅広く周知していくことで、子どもを持ちたいという希望を持つ夫婦に対する支援並びに安心して子育てをしていただくための支援施策を進めてまいります。
 また、近年、児童、高齢者、障害者等が虐待により尊い命を失うニュースが後を絶ちません。本市においても「虐待等防止ネットワーク協議会」を中心に、虐待の発生の防止、虐待を受けた方等の保護、支援体制を強化してまいります。
 次に、市の活力とにぎわいあふれる取り組みとして、昨年度から進めております道の駅「立田ふれあいの里」を中心とした周辺整備については、今年度実施した調査結果を踏まえ、整備手法の検討及び基本計画図の策定を行い、立田ふれあいの里周辺整備の将来イメージについて、市民の皆様方にお見せできるよう進めてまいります。本市の観光に関する情報発信、交流の拠点として、現在、合わせて進めている木曽三川周辺の水辺空間「ミズベリング」や昨年2月、愛知県から認定がされた「レンコン街道」、史跡などの既存の観光資源を発信してまいります。
 次に、快適で計画的なまちづくりをめざす取り組みとして、市民の足として利用いただいている巡回バスは、市民の皆様方のご要望も踏まえながら、再来年度のバスルートの改正を目指し検討を進めてまいります。そして、市役所と海南病院を結ぶバスルートについても、利用状況、市民の皆様方からのご要望も踏まえ、次年度以降も継続し、車両もレンタルから新規購入により運行してまいります。
 また、これからの本市のまちづくりの将来像を明確にし、それを実現するための方針となる都市計画マスタープランの更新に着手します。
 人口減少、近年の大規模な台風などの災害の点からも問題となっている「空き家等対策」については、倒壊などの危険空き家について除却事業費の一部を補助することで、生活環境の保全や安全で安心なくらしの保持を図ってまいります。
 親水公園東ゾーン周辺については、今年度はフットサル場及び駐車場を整備いたしましたが、次年度は公衆トイレ、シェルター、舗装等のコート周辺の整備等を行い、親水公園を訪れ利用される方が、より快適に利用できるように整備してまいります。
 次に、教育に関する取り組みとして、小中学校においては、トイレ洋式化改修事業及び屋内運動場非構造部材耐震改修事業を計画的に実施していくほか、教育分野における情報化にも対応していくために、ICT環境の整備・更新を行います。
 また、昨年12月議会にてお認めいただきました小中学校空調整備工事につきましては、猛暑となる前に事業を完了させるため、事業を翌年度に繰り越しまして事業を実施することとし、所要の手続きをいたします。
 そして、学校生活への適応が難しい不登校の児童生徒が少しでも集団生活になじめるような活動の場として現在、市江コミュニティセンターに適応指導教室「すまいる」を設置しておりますが、不登校の児童生徒の現状を踏まえ、適応指導教室を増設することとしました。今後、市内2か所とすることで、不登校となっている子どもたちが一人でも多く社会的に自立ができるよう、支援してまいります。
 また、福原地区の児童が安心して学校に通えるように、スクールバスの運行を行います。立田南部小学校福原分校は、児童数の減少によりこの3月末を最後に閉校することにいたしました。長きにわたり地元の皆様方に支えられ、私個人としても愛着を持っていたこの分校が閉校となることは非常に寂しい思いでありますが、次を見据えた取り組みとして、福原地区に暮らす子どもたちが通う立田南部小学校への交通手段の確保と安全対策として、福原地区からスクールバスを運行することとしました。福原地区の子どもたちが多くの友達との学校生活が有意義なものとなるよう、また、安全に学校へ通うことができるよう、市としても支援してまいります。
 少子化が進む中、教育委員会とも連携をとりながら小中学校適正規模、適正配置という現実にも向き合いながら、本市の未来を担う子どもたちの教育環境を良くするための取り組みを進めてまいります。
 次に、行政サービスの向上への取り組みとして、この3月末で終了する海部旅券コーナーのパスポートの申請・受取業務を引継ぎ、4月から市役所の市民課窓口において開始いたします。また、行政改革の一環として、新たな行政組織の体制であるグループ制を導入いたします。職員一人ひとりが自己の役割と責任をさらに認識するとともに、時代の変化により多種多様化する行政ニーズにも柔軟・迅速に対応できるよう、組織力を強化してまいります。
 以上、予算の主な内容について申し上げてまいりました。

 本定例会に上程させていただいております平成31年度当初予算につきましては、一般会計、特別会計などを合わせた予算総額は389億4,161万9,000円で、前年度の当初予算と比較しますと5.1%増となっており、一般会計予算では209億3,900万円で、前年度の当初予算と比較いたしますと2.0%の増となっております。
 予算の詳細につきましては、概要書に記載をさせていただいておりますのでご覧いただきますようよろしくお願いいたします。

 さて、昨年末に厚生労働省が発表した人口動態統計の年間推計によれば、平成30年に国内で生まれた子どもの数が92万1,000人と統計開始以来最少を更新し、一方、死亡者は戦後最多の136万9,000人に上り、自然減が44万8,000人と過去最大になる見込みとのことでありました。
 少子高齢化、人口減少の波は確実に波音を大きくして近づいています。
 市民の皆様方も、自分の子どもが、孫が、成長し大人となった時、日本はどうなっているのだろうか、愛西市はどうなっているのだろうと思われる方も多いと思います。
 次の世代を担う、今とこれから生まれてくる子どもたちが愛西市に住み生活をするためには、この愛西市を今だけでなく将来にわたり持続可能な自治体となるような運営を行うだけでなく、人と人とのつながり、絆を深くして引き継がなければなりません。これらをするのが、我々の責務であると考えます。

 日本全体の人口減少が加速する中、本市においても働き世代の人口が減少すれば、税収も減少することが見込まれます。国においても全世代型社会保障への取り組みが議論されており、本市においても今まで以上に社会保障施策の充実とそれに対する財源対策を考えなければなりません。しかし、本市の財政は、来年度の一般会計予算で言えば全体の約45%しか自力で財源を確保できておらず、残り約55%は地方交付税、国、県の補助金等に頼っている状況です。
 このような状況の中、本市では、経済事情等による税収の減少や災害時などにより緊急に財源対策をするための「財政調整基金」、市の借金である市債を返済するための「減債基金」、そして公共事業整備や地域づくりなど特定の目的の事業に使うための「特定目的基金」を設置し、現在と将来にわたり必要な財源を確保するよう努めています。
 これら基金の総額は、平成29年度末の一般会計総額で約164億円、市民一人当たり25万9,000円となり、これは県内、名古屋市を除く37市の中でも2番目に高いものです。しかし、一方で、市の借金である市債は、平成29年度末の一般会計総額で約206億円、市民一人当たり32万3,000円となり、37市の中でも5番目に高いものです。
 基金については、これを財源に行政サービスを充実すべきとの議論もあります。現在の市の借金の状況や、将来の人口減少に伴い、自力での財源確保がさらに困難になっていくことを考えれば、現在の基金を使い、他の自治体以上の行政サービスを継続して行うことは、今は良くとも将来の愛西市を支える方々に大きな負担を背負わせることになりかねません。
 来年度当初予算においては、現状の様々な行政サービスを行うほかに、将来を見据えた取り組みへの予算も計上しております。
 現在必要な行政サービスを維持しながら将来に向けた新たな取り組みを提案できること、また、昨年、国の支援を待たずに小中学校の全普通教室に空調設備を設置することを迅速に判断できたのは、基金を計画的に確保していたところが大きく、それは、過去からの行政改革の成果と、そして何より、市民の皆様方が将来に愛西市を引き継ぐためとして、様々な事務事業の見直しにご理解、ご協力をいただいた結果であると、大変感謝をしております。

 最後になりますが、今後、本市として自力で財源を確保していくための取り組みを進めることは当然として、今後、税収の状況、公共建築物及びインフラ施設の更新等による老朽化対策、そして昨年のような異常気象や大規模な台風等による自然災害にも迅速に対応できるよう、市民の皆様方にご理解をいただきながら各種基金を計画的に確保するとともに活用をしてまいります。
 また、「人と人とのつながり、絆を深める」ための取り組みは、行政だけでは成しえることはできず、市民の皆様方が持っている愛西市を愛し、盛り上げる気持ちと活動に勝るものはありません。今後、さらなる少子高齢化と人口減少による深刻な課題を未来の方々に背負わせず、今の市民と行政の共通の問題としてとらえ、ともに知恵を出し合い、ともに行動する、「協働」を推し進める必要があります。
 これらの取り組みは、1年や2年で成果が出るものではありませんが、市職員も一丸となり、地域から生まれる愛西市を盛り上げる気持ちや行動を応援・連携しながら、「ひと・自然 愛があふれるまち」の実現に向け、市民の皆様方と手を携え、邁進してまいります。

 ここに重ねて市民の皆様方並びに議員各位の一層のお力添えをお願いいたしまして、招集挨拶並びに施政方針といたします。どうぞよろしくお願いいたします。


 平成31年2月27日

                     愛西市長 日永貴章