ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

スマートフォン表示用の情報をスキップ

別ウィンドウで開きます

令和2年3月愛西市議会定例会 招集挨拶並びに施政方針説明

更新日:2020年3月12日

 本日ここに、令和2年3月愛西市議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位にご出席を賜り、厚く御礼申し上げます。
 本年最初の定例会において、令和2年度当初予算並びに関連議案のご審議をお願いするに際し、市政運営に臨む所信の一端を述べ、市民の皆様並びに議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 令和2年。今、私たちを取り巻く環境は、大きく変わろうとしています。近い将来、「あの時から変わった」と語られる、まさにそのような「時代の転換点」を迎えているのではないでしょうか。

 今年の冬は、観測史上初めて、尾張地方の初雪が2月にずれ込むという記録的な暖冬となりました。地球温暖化を肌で感じられた方も多いのではないかと思います。昨年秋には、台風19号による記録的な豪雨が、各地に甚大な被害をもたらしました。海抜ゼロメートル地帯に暮らす私たちにとって、とても他人事とは思えない、災害の怖さを目の当たりにしました。災害からいかに身を守り、備えるか。10年後、20年後を担う子ども達が安心して暮らすことができる社会を残すため、市民が危機感を共有し、未来に向かって踏み出す第一歩にしなければなりません。

 そして、56年ぶりの東京オリンピックです。前回のオリンピックでは、東海道新幹線、首都高速、名神高速が相次いで開通し、テレビのカラー放送がスタート。戦後復興と高度成長を象徴する多くのレガシーを残しました。「復興五輪」をテーマに掲げる今回のオリンピックも、リニア着工の槌音が響く中、AIが仕事を変え、自動運転が実用化され、次世代通信5Gが始まった年として、後世に刻まれることとなるでしょう。

 愛西市に目を向けますと、本年は市制15周年の節目の年です。この間、庁舎の建設、支所の再整備、保育園の再編など、熟慮し、時には「とどまる勇気」を持って、絶え間なく改革を実行し、持続的な行政経営が可能となる、「責任ある礎」を築いてまいりました。合併算定替えの段階的削減によって、地方交付税は16億円減少してしまいますが、投資するべきところに投資する、「すすめる決断」ができる基礎体力を培うことができたと思います。任期8年目を迎え、これまで種をまいてきたものが、芽を出し、花を咲かせ、実を結ぶ時期が訪れつつあると感じております。内外とも様々な課題はありますが、一つひとつチャレンジを積み重ね、大きな成果に結び付けていく年にしなければならないと、私自身、強く決意し、職員と一丸になって市政運営に取り組む所存であります。

 それでは、令和2年度当初予算編成について申し上げます。
 昨今の経済情勢を見ますと、米中の貿易摩擦、中東諸国の対立、英国のEU離脱、新型肺炎の拡大など、景気の先行きが見通せない不透明な状況が、さらに続くと思われます。
 本市の財政状況におきましても、市税の増収が見込めず、地方交付税が段階的に削減される一方で、扶助費は増加の一途をたどっております。財政見通しは一段と厳しい状況が見込まれますが、こうした中でも、将来のまちづくりに向けた新たな取組に、積極的にチャレンジしていかなければなりません。

 こうした点を踏まえ、歳入では、国・県補助金などの財源確保に努め、歳出では、事務事業の見直し、効率化を進めるとともに、将来に向けた事業を積極的に展開し、持続可能な愛西市づくりに寄与することを目指して、予算を編成いたしました。

 続きまして、令和2年度当初予算の主な内容について、四つの柱に沿って、順に説明してまいりたいと存じます。

 第一の柱は、「快適で安心・安全に暮らせるまちづくり」です。
 地震、台風、豪雨などの自然災害からいかに身を守るか、いつ起こるか分からない災害に対しては、事前の備えが欠かせません。そうした観点から、防災・危機管理に関して、五つの重点施策を展開いたします。

 一つ目は、ハザードマップの作成です。現在、地震及び洪水に関するハザードマップを、各世帯にそれぞれお配りしておりますが、国、県が発表している最新データ、最新基準に沿ったものに改訂するとともに、各種防災情報も加えて1冊にまとめた「愛西市防災ハンドブック」を新たに作成し、市民の皆様のお手元にお配りいたします。

 二つ目は、広域防災活動拠点の整備です。令和4年度の供用開始に向け、県が、旧永和荘の跡地に防災活動拠点を整備します。本年度は盛土工事、令和2年度は上物整備の実施設計を行う予定であり、引き続き県と連携してまいります。

 三つ目は、災害備蓄です。食料、紙おむつ、粉ミルク、ブルーシートなどの救援物資を、引き続き計画的に配備していきます。

 四つ目は、救急車の更新です。消防力の維持向上と、市民の安心・安全の確保のため、高規格救急車を1台購入します。

 五つ目は、治水対策です。木曽川下流河川事務所が撮影した河川監視用CCTV映像をリアルタイムで見るため、市役所災害対策本部室の接続工事を行います。

 次に、道路・交通体系の整備について申し上げます。
 長期的な視点から都市の将来像を明確にし、まちづくりの指針となる「愛西市都市計画マスタープラン」は、令和2年が最終年度となります。現在、次期マスタープランの全体構想に着手しているところであり、さらに、地域別構想をまとめ、策定作業を進めてまいります。
 また、名鉄佐屋駅に関しましては、駅前広場やアクセス道路の検討に必要となる事前調査を行います。
 交通安全対策といたしましては、引き続き市内各所に、カラー塗装、防護柵、カーブミラーなどを整備します。
 市民の皆様の足となる巡回バスにつきましては、運行検討委員会の提言を受け、本年4月から、佐織南ルートを延伸して津島市民病院に乗り入れるとともに、立田・八開ルートの経路を見直してバス停を増設し、佐屋東ルートのダイヤ改正を行います。

 第二の柱は、「胸を張り誇れる魅力のまちづくり」です。
 開発が進んでおります南河田工業団地につきましては、全5区画のうち、2区画で建設工事が進み、1区画が令和2年度中に操業開始する予定です。さらに、残る3区画のうち2区画で契約が内定し、1区画は、内定に向けた審査が行われているところであります。平成26年11月から県企業庁と協力し、企業誘致を進めてまいりましたが、完売に向け、あと一歩のところまでたどり着くことができたと思います。全5区画が操業となれば、雇用の創出、地元企業との連携、経済効果の波及など、地域に様々な恵みをもたらすことが期待されますので、引き続き力強く推進してまいります。

 また、渕高地区の都市基盤に必要となる公園及び調整池の整備に向け、測量、地質調査、基本設計を行ってまいります。

 観光施策といたしましては、市内最大の集客力を誇ります「道の駅 立田ふれあいの里」を、都市公園が併設された新たな道の駅としてリニューアルする計画を進めております。計画案では、現行の産直施設を移転して、フードコートを設置するとともに、道の駅東側に、花はす田、屋根付きステージ、レストラン、バーベキューテラス、収穫体験施設などを整備する、魅力あふれる内容となっています。令和2年度は、整備に向けた測量と、計画をさらに深化、具体化させるための基本設計に入っていく予定です。

 また、船頭平閘門、ケレップ水制群、幻の堤防跡など、木曽川一帯に点在する歴史遺産を生かした観光振興に取り組む「愛西市かわまちづくり計画」を、国土交通省と連携して、着実に進めてまいります。

 地域ブランド戦略といたしましては、県が認定したエコファーマーが市内で作ったこだわりの農産物「愛西市ぐるぐる農産物」を、市のブランドとして、積極的に広めてまいります。愛西市の農業産出額は、田原市、豊橋市に次いで県内3位を誇ります。その中でも、れんこん、みつば、いちごは、全国有数の産地であり、おいしくて新鮮な農産物をたくさん食卓に提供しています。ぐるぐる農産物は、漫画家の鳥山明さんがデザインされたもので、消費者が「おいしい!」と感じ、農家さんがさらにやる気になる、「めぐりめぐる」という二つの意味が込められています。ぐるぐる農産物が全国に広まることで、愛西市産のブランド力の向上につなげていきたいと考えております。

 また、昨年に引き続き、中部国際空港セントレアにおいて、マグネットポスターを掲出するなど、市の特産品のPRを積極的に行ってまいります。

 第三の柱は、「共に創造し共に協働するまちづくり」です。
 昨年10月に開催しました「第1回あいさいさん祭り」では、市内外から多くの来場者が訪れ、無事成功裏に終えることができました。これもひとえに、市民の皆様の暖かいご支援、ご協力のおかげであり、参加された各種団体、企業の「力の結晶」であったと思います。令和2年度は、愛西市の魅力をさらに発信できるよう、新たな企画や展開を採り入れてまいります。市民が参加し、市民が主体となったイベントとして、皆様に親しまれ、定着できるようにしていきたいと思います。

 続きまして、市民協働です。
 多様化する市政の課題や市民のニーズに対応していくためには、行政主導のまちづくりでは限界があり、市民と連携・協働するまちづくりを進めていくことが、不可欠となります。
 こうした活動を支えるため、市民活動支援公募補助金、市職員によるワーキングチーム活動などを通して、人材を育成し、未来に向けた礎を作ってまいります。昨年7月に新メンバーで発足した「市民協働ワーキングチーム」では、大学教員による講演会、コミュニティ役員との懇談会、先進地視察、会報の発行など、精力的な活動を展開しております。令和2年度は、新たにモデル地区を選んで実際に生の声を聴き、地域の将来像や方向性をまとめたビジョンを、市民の皆様と一緒になって作っていきたいと考えております。

 次に、地域における担い手の育成です。
 市が将来にわたって活力を維持していくためには、次世代を担う若者の意識を育み、高めていくことが大切です。
 そうした観点から、市では、市内の中学1年生を対象に、学校の授業の中で、ワークショップを実施しております。「住みたいまち 私たちでできること」をテーマに、5、6人のグループに分かれて意見を出し合い、発表してもらうことで、地域の担い手としての意識を持ち、まちづくりへの参加を促す取組を進めています。

 また、昨年4月からスタートしました清林館高校との官学連携事業「愛西市活性化プロジェクト」では、若い世代と一体となったまちづくりを展開していきます。本年度は、「見る、知る、考える」をテーマに、市が抱える課題に関して、多くの提案をいただきました。令和2年度はこれを発展させ、「やってみる」にチャレンジします。生徒の皆さんの力でどのようなプロジェクトが実現するか、今からとても楽しみです。

 一方、佐屋高校とは、昨年7月から始めました親水公園のビオトープ運用を継続します。この冬は、カモが多数飛来して、餌を求める姿が見られるようになりました。小魚やエビなどの放流を続けていくことで、多様な生き物が生息する環境を、生徒の皆さんと共に作っていきたいと考えております。

 そして、佐織工業高校に関しましては、令和3年4月から「愛西工科高等学校」に名称が変わり、電子機械科が「ロボット工学科」、建築科が「建築デザイン科」に改編されます。本年9月には、「全日本ロボット相撲北信越・東海大会」が同校で開催されますので、ぜひとも全国大会の切符を勝ち取っていただくよう、力を込めて応援し、一緒に盛り上げていきたいと思います。

 第四の柱は、「人と心を育む活力のまちづくり」です。
 未来を担う子ども達が愛西市で健やかに成長できることを第一に見据え、子育て支援として、六つの施策を紹介いたします。

 一つ目が、子ども医療費の助成です。本年4月から、中学生の通院費を全額無償化し、中学校卒業後から18歳の年度末までの方の入院費全額、通院費の3分の2を、新たに助成の対象といたします。

 二つ目が、愛西市独自の制度として行う、幼稚園、保育所等に通う児童の副食代の補助です。幼保無償化によって保護者負担となった副食代のうち、月額3,500円を引き続き補助いたします。

 三つ目が、母子コーディネーターの増員です。児童館や子育て支援センターの巡回指導、各種検診、相談事業を強化することで、妊娠・出産・子育てにおいて、切れ目のない支援を実施いたします。

 四つ目が、児童発達支援センターの建設です。「あいさいわかば」は、発達に遅れがある、もしくは可能性のある児童を対象とした支援施設ですが、別の場所に移転新築して、感覚統合室、遊戯室、給食調理室、園庭を新たに整備します。併せて、訪問・相談体制を充実させることで、センターと幼稚園、保育所、学校などの関係機関が相互に連携し、乳幼児から18歳まで一貫した支援を目指します。

 五つ目が、佐屋中央保育園の駐車場整備です。駐車場所が不足し、安全確保に課題があることから、隣接用地を買収し、新たに30台分の駐車場を整備します。

 六つ目が、永和保育園の指定管理者制度導入です。多様化する保育ニーズに対応し、柔軟な運営を可能にするため、本年4月から、八開福祉会を指定管理者とした新たな体制がスタートします。

 一方、高齢者福祉施策といたしましては、免許返納などによって移動手段が制限されるご高齢の方々に安心して暮らしていただくため、これまで一人暮らしまたは高齢者のみの世帯に限定しておりました福祉タクシーの料金助成を、80歳以上は、すべての方を対象にすることといたします。

 次に、教育環境の充実です。
 令和2年度から、新学習指導要領「生きる力 学びの、その先へ」が小学校からスタートし、プログラミング教育が必修化されます。さらに文部科学省は、昨年12月、令和5年度を目途に小中学校の児童生徒全員に1人1台端末を整備する「GIGAスクール構想」を発表しました。タブレットが子ども達に行き渡れば、「黒板に書かれた内容をノートに写す」といったこれまでの授業風景が、一変するかもしれません。愛西市でも、国の構想に遅れることのないよう、すべての小中学校にWi-Fi環境を整備し、タブレットを順次配備してまいります。
 ハード面では、小中学校18校のトイレの洋式化を順次進めております。また、築50年を超える校舎の老朽化問題に対処するため、有識者や専門家を交えた「小中学校施設老朽化対策検討委員会」を立ち上げ、スピード感を持って検討していきます。

 健康づくり施策といたしましては、市民の皆様の心と体の健康を高め、いきいきと暮らすことができるまちを目指して、令和2年度中を目途に、「愛西市健康都市宣言」をします。

 スポーツ施設に関しましては、休止となっている佐屋プールを解体し、管理室、日除けシェルター、自転車置き場を新たに設置します。立田総合運動場を全面芝の多目的グラウンドに再整備する構想に関しましても、愛知県サッカー協会と協議を進めてまいります。

 続きまして、その他の事業について、主なものを三つに絞ってご説明申し上げます。

 一つ目が、市議会のタブレット端末導入です。タブレットを議会運営に取り入れることで、定例会資料をペーパーレス化し、議員活動の効率化、迅速化につなげていくことを目途としております。

 二つ目が、新婚世帯支援です。結婚を機に、夫か妻のいずれかまたは両方が愛西市に転入された世帯を対象に、住居取得費、賃貸家賃、引越し費用の一部を支援することで、「愛西市に住んでみよう」というきっかけにしていきたいと思います。

 三つ目が、「愛西市まち・ひと・しごと創生総合戦略」と「愛西市公共施設等個別施設計画」です。まち・ひと・しごと戦略では、令和2年度から令和7年度までの6年間を計画期間とし、市内への人の流れと、住みよい環境の確保を目指してまいります。公共施設等個別施設計画は、施設ごとの実情や課題を明確にし、計画的に保全していくための指針となるものです。いずれも、本年度末の計画策定に向けて事務を進めているところであり、初年度となる令和2年度は、計画に基づく取組をしっかりと軌道に乗せることができるよう、着実に実行に移していきたいと考えております。

 以上、令和2年度当初予算の主な内容について申し上げました。

 本定例会に上程させていただいております令和2年度当初予算につきましては、一般会計、特別会計、公営企業会計を合わせた予算総額が394億1,419万8千円で、本年度当初予算と比較しますと1.2%の増となっております。このうち一般会計は215億3,400万円で、本年度当初予算と比較しますと2.8%の増となります。
 予算の詳細につきましては、概要書に記載しておりますので、ご覧いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 最後になりますが、これからも引き続き改革の手を緩めることなく、職員と共に、意識をチェンジし、チャンスをつかみ、チャレンジしていくことで、未来への責任を果たしていきたいと思います。第2次愛西市総合計画に掲げております将来像「ひと・自然 愛があふれるまち」の実現に向け、市民に愛される「愛西市」となりますよう、これからも皆様と手を携えて取り組んでまいります。

 市民の皆様並びに議員各位の、より一層のお力添えをお願い申し上げまして、招集挨拶並びに施政方針といたします。どうぞよろしくお願いいたします。


 令和2年2月27日

                     愛西市長 日永貴章